検査したところ、注入材がロックボルトの孔内に十分充てんされておらず、ロックボルトと法枠の間に空隙が生じている状況となっていた。
このため、ロックボルト工402箇所について、ロックボルトの長さ及び引抜き抵抗力を検査したところ、次のとおり、吹付法枠工の全面1675m2にわたる299箇所が地山のすべりに抵抗できず適切とは認められないものとなっていた。
①127箇所はロックボルトの長さが設計上必要とされる3.5mを下回っており、このうち89箇所は長さが0.5m以下で、ロックボルトが法枠の中にとどまっていて地山の表面にさえ届いていない状況となっていた。そして、この127箇所のうち65箇所は必要な引抜き抵抗力も満たしていなかった。
②上記の引抜き抵抗力を満たしていない65箇所以外にも、172箇所が必要な引抜き抵抗力を満たしていなかった。
このような事態となっているのは、次のようなことなどによるものと認められる。
(1)所定の深度まで削孔作業を行わなかったことから、3.5mの長さのロックボルトを切断していたこと
(2)注人材の注入を十分に行っていなかったり、引抜き抵抗力の確認を十分に行っていなかったりしていたこと
このように、法面1675m2に施工されたロックボルト工は、その施工が著しく粗雑となっていて、法面の崩壊を防止する効果を期待できないものとなっている。このため、ロックボルト工及びこれと一体として法面の崩壊を防止することとしていた吹付法枠工は工事の目的を達していない。