地山補強土工の日本での使用状況
 
地山補強土工の目的
地山補強土工の特徴
地山補強土工の補強材
地山補強土工の表面工
吹付工の設計
地山補強土工における吹付枠工設計のポイント
プレキャスト製パネルの設計

 

地山補強土工の目的

 地山補強土工は、斜面に鉄筋やロックボルトなどの比較的短い棒状の補強材を法面や地山に多数挿入することにより、土と補強材の相互作用によって移動土塊や斜面上の岩塊等を安定化させる工法です。

 多くの場合、のり面工(表面工)との併用がなされます。補強材とのり面工が一体となり補強効果を増します。一般的には補強材の長さはアンカー工よりも短く、比較的崩壊規模の小さい斜面に適用されます。

 本工法が現在主に使用されているのは、以下の目的が多いようです。

①用地制限などにより自然地盤で標準勾配よりも急勾配に切土を行う場合

②既設切土のり面を用地の有効利用等の目的で急勾配化する場合

地山補強土工の特徴

 地山補強土工法は、グラウンドアンカー工法などの抑止工に比べて簡易であり、狭い専有面積に自然環境をなるべく改変しないで経済的に短期間に建設できる特徴があります。逆に、大きな抑止力が必要となる大規模な地すべりなどに対しては単独での適用が困難となることもあります。

  地山補強土工法の主な特徴は以下のようになります。
  ①補強材、施工機械が軽量・小規模であるため、施工の省力化が図れる。
  ②のり面を標準勾配より急勾配にすることで、用地・掘削土量の軽減が図れる。
  ③逆巻き施工が可能なことから、安全な施工が図れる。
  ④動態観測を行うことにより、施工時の安全性、経済性の向上が図れる。
  ⑤変状等が生じた場合でも、増打ち等での対応が可能である。
 

地山補強土工の補強材

 補強材の種類は材質や形状によって以下のように分かれますが、ネジ節異形棒鋼が最も一般的に使用されています。

     ※現在市販されている主な補強材
 

地山補強土工の表面工

 一方のり面工(表面工)には、吹付工や場所打ちの受圧板、プレキャスト製パネルなどがあります。

 場所打ちの受圧板は以下に分類されます。

 この中で板は、強度が高く、設置面積が大きいという長所を持つが、地下水を遮断したり、施工性に劣るといった短所もある。この中で施工例として圧倒的に多いのは吹付枠工です。

 地山の地質状況、のり面規模、勾配、緑化の有無、永久・仮設、補強効果などを考慮して数種類ののり面工を比較して採用工法を決定しています。
 
吹付工 吹付枠工 プレキャスト製パネル

 

吹付工の設計

 モルタル吹付については詳細な設計検討がなされないことがほとんどです。吹付厚などは周囲の現場との整合などで決まることが多いようです。

 ただし検討を求められることもあります。その場合は以下のような手順があります。

 モルタル吹付の吹付厚は一般的に8cm~10cmを標準としているため、この範囲内に対して「吹付コンクリート指針(のり面編)」より、地山の状態と勾配により必要厚の検討を行います。

①地質要因

②地形要因

 吹付モルタルの強度計算について、参考文献が無いため、設計者によって「押し抜きせん断照査」、「支圧応力度照査」、「照査省略」とバラバラのようです。

 μ>0とすれば、吹付モルタルにも荷重は作用していることになるので、何らかの照査は必要という考え方もあります。

 

地山補強土工における吹付枠工設計のポイント

 平成18年11月(社)全国特定法面保護協会から「のり枠工の設計・施工指針(改訂版)」が発行されました。地山補強土工におけるのり枠工、特に吹付枠工 は、同指針が基本であり、国土交通省でも随時新指針によることを通達しています。

 ここでは地山補強土工+吹付枠工の設計で特に注意を要するポイントを解説します。

 地山補強土工+吹付枠工の設計で良く問題となるのが、端部の張出しです。この問題については会計検査で問題となりました。上記の指針ではこの問題に対して、アンカー工と補強鉄筋工に明確な考え方の差を示してい ます。  

  張出を設けるか 計算上の扱い 使用限界状態の荷重
アンカー工 原則設ける 考慮する 考慮する
補強鉄筋工 どちらでもよい 考慮しない 考慮しない

 
  補強鉄筋工の計算については、

  ・設計計算において張出し部という考え方をしなくても良い
  ・施工において張出し部という考え方をしなくても良い

  つまり設計計算では張出が極端に長いモデルも、張出がないモデルも、シンプルな十字ののり枠モデルで考えるのです。

  また吹付枠工にグラウンドアンカー工を併用する場合は、スターラップを配置することを原則としますが、補強鉄筋工ではこの限りではないとされています。

 

プレキャスト製パネルの設計
  補強鉄筋工の反力板としては、吹付枠工の他、各メーカーで提供している独立型の反力板がありますが、それらの設計は各メーカーに任せることが多いようです。
 
製品名 備    考
YSロックボルト支圧装置 (株)ヨシカワ機械
ミニフィットフレーム フリー工業(株)
KITフレーム (株)エスイー
KTB・オクトフレーム KTBスーパーフレーム工法研究会
クロスブリッジ 岡部(株)
田パネル フリー工業(株)
EP受圧板 (株)STNサービス
RSパネル (株)エスイー
グリーンパネル (株)ダイクレ
ハイブロックMKフレーム 前田工繊(株)
HDネット工法 KJSエンジニアリング(株)
ノンフレーム工法 日鉄住金建材(株)
LL補強土工法 長寿補強土(株)
PAN WALL工法 PAN WALL工法協会
クモの巣ネット工法 エコ・パワーネット工法会
パワーネット工法 エコ・パワーネット工法会
プレストネット工法 プレストネット工法協会
ユニットネット工法 (株)ダイカ