設計書チェックのポイント

 施工時には先ず設計書のチェックが義務づけられています。面倒くさい仕事・・・、と考えがちですが、この対応の差だけで現場の進みや工事原価が大きく変わってきます。とても大切なポイントです。
 
設計図だけでなく報告書を借りる
 受注者は、工事受注後、第一回の打ち合わせを行い、工事の概要についての説明を受けます。そして現地確認後、図面・数量などに対するチェックを指示されます。

 ここで必須のポイントです。チェックの際に借用するのは、図面・数量計算書だけでなく、設計報告書を必ず借りましょう。図面・数量計算書だけでは、変更をせざるをえない場合の判断が出来ないのです。


 

報告書の標準パタン
1.業務概要
2.設計条件
3.対策工の選定
4.対策工の設計
5.施工(仮設)計画
6.設計図
7.数量計算
8.打ち合わせ記録
9.巻末計算書


 

設計書のチェックポイント
 設計報告書では以下の項目をチェックします。

 ●設計が行われた時の現場環境を把握する
 そもそもどのような目的で工事は計画されたのか、設計時に何かの制約はあったのか、設計時の現場の状況はどのようだったのか、などを理解します。これを理解しておくと現場で、設計指示のない領域や問題、また変更が余儀なくされた問題に対して、「設計の基本方針は○○なので、ここは△△と考えるべき・・・」とか、「設計の段階では○○だったが、現在は△△なので・・・」などと、施主に対して説得力のある話が出来ます。
 これらは報告書の中で、「業務概要」、「設計条件」などの項に書いてあります。

 ●なぜこの工法になったのかを把握する
 どんな点が理由で工法が採択されたのかを理解します。これを理解しておくと現場を履行する際に発生する大小の問題点の判断がしやすくなります。
 報告書の中では、「対策工の選定」などの項に書いてあります。

 ●安定解析を照査する
 地山補強土工法の設計では、ほとんどの場合、中心断面での「現(原)地形の安定計算」、と「計画地形の安定計算」があります。先ずどの断面が計算断面であるか確認します。この解析断面の状況(地形、地質、地下水など)が大きく変わるようなことがあれば、事後確認すると設計と工事が乖離した資料に見えます。設計報告書の巻末には、計算書データ があると思いますので、できれば工事前に自己の安定計算ソフトでデータ復元・確認しておく癖を付けることが良いでしょう。慣れれば時間もかかりませんし、癖にしておけば何のことはありません。
 コンサルタントによっては計算書データに入力データを付けていない会社もありますが、その場合は施主を通じて取り寄せましょう。何かと役に立ちます。

 ●打ち合わせ記録を把握する
 設計時の流れ・情報が報告書に現れていない部分もあります。打ち合わせ記録を見るとその流れがわかる場合もあります。量的に少ないですし、読みやすいので目を通しておきましょう。
 

計算書のチェックポイント
 計算書の復元をする際、以下をチェックしましょう。ミスをしやすいところです。

計算書のチェックポイント
地下水を考慮しているか否か ほとんどの設計者は地下水を考慮していないと思います。従って現地の地下水が豊富だった場合は、計算書を変えるか、水抜き処理が必要となります。
計算式 Fellenius式か修正Fellenius式か。基本道路系は修正Fellenius式、河川系はFellenius式です。地下水がない場合は同じ答えとなります。
地層のτ値 地山補強土の場合、設計時のμはアンカー設計ほど慎重に決めません。結構いい加減に決めることもあります。τ値については施工屋さんの感覚の方が優れていますので一応把握しておきましょう。
計算時の補強材の削孔径 計算時の削孔径と設計図が異なっている場合があります。これは設計ミスですので、修正する必要があります。
計算時の補強材の打設傾角 角度を指定して計算しているか、打設面に垂直に打設しているか、設計図と比較します。これも案外ミスが多いものです。
表面工のμ 表面工がモルタル吹付工なのにμ=0.7〜1.0をとっているケースも見られます。モルタル吹付工の場合はμ=0.2〜0.6とされています。