仮設関連の知識

 設計時に仮設を考えることは重要です。資機材を運ぶ手段によって設計の根本が変わることもあります。

 地山補強土工法の機資材の運搬などに関する仮設としては、@クレーン、A索道、Bモノレール 等があります。それぞれについて簡単な基礎知識をまとめました。
 

クレーン仮設 索道仮設 モノレール仮設

クレーン仮設

 クレーン計画には、資機材の最大荷重、搬入路からのクレーンの限界規格、クレーンの設置形状での吊り荷重の限界荷重などを検討する必要があります。

 クレーンの性能は車種別に異なりますので、各メーカで確認します。

 搬入の道路を確認し、入れる車のサイズを決定します。

 資機材の重量を分解できるかを含め調べます。

 また現地の平面図、断面図などで具体的にクレーンを配置してみて、確実に届く規格が必要となります。場合によってはクレーン車用の作業構台も必要となります。

クレーンの知識

 近年クレーンの事故が多くなっています。圧倒的に多いのが作業中のクレーンがバランスをくずし、転倒する事故です。作業関係者の他通行者が下敷きになることもあります。

 これらの事故で感じるのは、これまで現場でクレーンの支持地盤として、地盤が軟らかいときはとりあえず鉄板を敷いて・・・となんとはなしに判断していましたが、果たして自分はクレーンのことをどれだけ情報を持っているのだろう、実はほとんど知らないと認識したことです。

 という訳で簡単な知識を入れることの出来るページを作成しました。
 

移動式クレーンとしては、以下の種類があります。
 
トラッククレーン ラフタークレーン オールテレーンクレーン クローラクレーン

トラックの上に架装されたクレーン、運転台が走行用と操作用とで二つ。 車輪のついたクレーン。クレーンメーカーが本体を含め全てを組み立てたラフテレーンクレーン 走行とクレーン操作を1つの運転席で行う。 走行台車とクレーンにそれぞれ運転席がある。最大9軸車(18輪車)まであり安定性に優れるのも特徴で、高所への資材の運搬に適している。車体が長いにもかかわらず小回り性能に優れるのも特長であり、蟹のように横に走ることもできる。 鉄製などの無限軌道(クローラ)で走行する。公道では自走できない。

 

○クレーンの法律

 クレーン等安全規則(昭和47年9月30日労働省令第34号)があります。この法律は、クレーン、移動式クレーン・デリック、エレベーター、簡易リフト、免許及び教習、床上操作式クレーン運転技能講習、小型移動式クレーン運転技能講習及び玉掛け技能講習の安全についての基準を定めた厚生労働省令です。(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S47/S47F04101000034.html

 

○クレーンの諸知識

 日本クレーン協会のホームページがあります。(http://www.cranenet.or.jp/)参考になります。

 

○クレーン運転の資格

クレーン操作と玉掛け業務に必要な資格は以下の通りです。
 
吊り上げ荷重
 0.5t未満 
 0.5t以上1t未満 
 1t以上5t未満 
 5t以上 
クレーン運転者の資格 機上運転式クレーン
無線操作式クレーン
適用除外 クレーン運転の業務に係る特別教育 クレーン運転士免許
床上運転式クレーン クレーン運転免許(床上運転式限定)
床上操作式クレーン 床上操作式クレーン技能講習
跨線テルハ クレーン運転の業務に係る特別教育
玉掛作業者の資格
玉掛けの業務に係る特別教育 玉掛技能講習

 

 

クレーン転倒事故

  1.  最近起こった移動式クレーンの転倒事故を集めてみました。クレーン種別ではトラッククレーンは少なく、ラフタークレーンが多い結果となっています。ただこれがトラッククレーンは転倒しにくく、ラフタークレーンは転倒しやすいということではないと思います。
  2. 転倒で予想される原因は、クレーンの固定ミスと重量オーバーが圧倒的のようです。
日時 トラッククレーン ラフタークレーン オールテレーンクレーン クローラクレーン 場所 転倒事故の概要
2009/4/16       川崎市宮前区 5F建マンション新築現場で、資材揚重中の25tラフターが転倒し、新築中の建物にもたれかかった。ブーム先端が現場外の電柱上にある高圧線金具に接触した。右後アウトリガーが敷鉄板から外れて地面に設置していたことが原因か。
2009/3/12       新潟県柏崎市 新潟県柏崎市西山町別山で川の改修工事中のクレーン車が転倒し、対岸の住宅を直撃した。倒れたのは中越沖地震の復旧工事作業中のクレーン車(55トン)。バランスを崩し、クレーンの先が対岸の民家兼美容室の2階部分を直撃した。アームとのバランスをとるおもりが載っておらず、同署は詳しい原因を調べている。
2008/11/30       神戸市灘区 神戸市灘区灘浜東町の水路脇歩道で、配管工事中のクレーン車が転倒した。伸ばしていたアームが幅約11メートルの水路の対岸に届き、運転していた男性と対岸で作業していた男性の2人が軽傷を負った。
 灘署の調べでは、対岸から工事用資材をつり上げようと、約15メートルのアームを伸ばしたところバランスを崩したらしい。歩道が狭く、クレーン車を固定していなかったのが原因か。
2008/10/9       東京都世田谷区 10tラフターがマンション建築現場内に資材揚重中に転倒。地盤は鉄板敷き、アウトリガーは旋回側最大張り出しのため重量オーバーか。
2008/6/26       山口県宇部市 工場敷地内で橋げたを組み立てていた65tラフターが転倒。ブーム約37mで高さ約13mの橋の上部に8.2tの部材を接合しようと吊り上げていたところ、前方に転倒、ブームが資材倉庫を壊し、市道(約5m)を一部ふさいだ。
2008/4/7       大阪市平野区 16tラフターを道路に設置し屋外にあった変電盤の撤去作業中に横転。作業員の右足にブームがあたりケガ。原因はアウトリガーの張り出し不足による過荷重か。
2008/3/13       愛知県常滑市 自動車部品製造会社工場増築工事の鉄骨建方中、クレーン車3台のうち、鉄骨を吊り上げた45tラフターが前方に転倒し、前で作業していた25tラフタに接触した。
2008/3/1       東京都日野市 ファミリーレストラン解体工事現場で看板(3m×2m)撤去のため、地上5mのポールに取り付けられた看板をミニラフターがブーム15m位伸ばして吊り上げたところバランスを崩し横転。
2007/12/17       福岡市博多区 雨水調整池の建設工事現場でボーリング中の掘削機が旋回中にバランスを崩し、そばにあったクローラクレーン(ブーム長さ約17m)を巻き込み倒れた。
2007/11/10       滋賀県草津市 幼稚園で伐採した樹木を吊り上げていた16tラフターが転倒。ブーム先端が電線を切断するとともに道路を挟んだ小学校の校舎の外壁に直撃した。
2007/10/13       東京都中央区 ビル建築の基礎工事現場で41tの筒状資材を地中から吊り上げていた80tクローラクレーンが横に倒れ、隣のビルの6F部分壁面に長さ25mブームの先端が当たった。
2007/10/12       熊本市 マンション新築現場で車道と歩道をまたぐ形で25tラフターを停め、ジブを使用してトラックから型枠を降ろしていたところ転倒。現場の奥にある2F建民家の屋根にジブ先端が直撃。
2007/8/16       大阪府堺市 運送会社敷地内で建設機械をトレーラに積み込み中、転倒。隣接する車庫2棟と路上に駐車していた車2台をつぶした。
2007/6/30       愛知県名古屋市 マンション新築現場において作業中の80tクレーンがブーム全縮状態(11.8mブーム=約高さ15m)で旋回したところ、後ろへ倒れ雑居ビルにもたれかかった。
2007/5/24       京都市中京区 ミニラフターが民家木造建方中に転倒し、ブーム先端で隣の民家の屋根を破損。
2007/1/31       広島市南区 午後10時40分ごろ、橋脚の補強工事をしていた大型クレーン車(25トン)が横転、長さ約22メートルのブームが国道の片側3車線をふさぎ、約6時間にわたって通行止めになった。国道沿いの空き地から、約4メートル下の河川敷にショベルカーを降ろす際、アウトリガーが地面にめり込み、転倒したという。
2006/11/12       埼玉県川口市 駅ロータリーで、駅ビル改修工事を行っていた400tオールテレーンが作業を終え、鉄板を移動しようと旋回したところ転倒。ウエイトを降ろさないまま、アウトリガーをジャッキアップし旋回したのが原因。オペレーターがケガ。
2006/10/5       大阪府吹田市 住宅の石垣を撤去していた10tラフターが転倒し送電線を切断、周辺の約450世帯が一時停電。アウトリガーの張り出し不良が原因か。
2006/9/27       大阪市住之江区 マンション改修工事現場で、25tラフターがジブを出した状態(高さ約40m)で足場材約500kgを吊り上げた際にバランスを崩し前方へ倒れた。
2005/11       川崎市高津区 マンション建設現場でクローラクレーンが作業終了後ジブを格納する際に転倒し、送電線を切断。付近7000世帯が1時間程度停電した。
2005/10       富山県富山市 県道沿いの敷地で木の植え替え作業中のクレーン車が転倒し、道路をふさぎ、5時間程度通行止めとなった。
2005/9       京都市下京区 10tラフターがマンション建設現場で基礎鋼材を吊り上げたところ転倒し、隣の店舗屋根を直撃した。
2005/2       沖縄県与那城町 工場建設地でラフタークレーンが転倒。警察は雨で地盤が緩んでおりブームの重さに耐え切れず転倒したと見ている。

「移動クレーンの辞典(常陸機工)」などから引用

  

事故、失敗知識データベース

失敗知識データベース(http://www.sozogaku.com/fkd/)は、科学技術分野の事故や失敗の事例を分析し、得られる教訓とともにデータベース化したもので、科学技術振興機構(JST)が無料で提供しています。データは古いですが、結構参考となります。
 

索道運搬仮設
 索道仮設の計画での注意点は以下の通りです。

・平面図と断面図から索道ラインを決めます。

・運搬時の最大重量を決めます。最大積載荷重の決定・重機等運搬最大積載物が重機等の場合は分解時最大部品の重量とします。資材運搬最大積載物が諸資材の場合はその1 回当たりの運搬量を勘案の上決定します。

・索道の吊上下高さは、索道縦断図より計測し、それぞれ1の位を四捨五入して10m単位として設計します。

・索の長さの決定では、以下を目安とします。
 主索延長:L=支間長+ 40.0mを目安とします。
 巻上索延長:L=支間長+巻上延長× 2 + 20.0m
 エンドレス索延長:L=支間長× 2 + 50.0m(支間長500m まで)

・設計荷重量の決定 P=P1+P2+W1+W2
  P=設計荷重
  P1 =最大積載量
  P2 =キャレジ、バケット等付属金具重量
  W1 =最大支柱間巻上索重量÷2
  W2 =最大支柱間エンドレス索重量÷2

・中央垂下比の決定0.04 を標準とする。

・主索径の決定、巻上索、エンドレス索の径を決定する。

・ウインチの決定、設計荷重を吊上可能な規格

1日当たり運搬量 日運搬量=1回当たり運搬量×1日当たり運搬回数
1日当たり運搬回数=運転時間(分)/Cm
(小数点以下四捨五入整数止め)
Cm(分)=積卸し時間+吊上下時間(荷積み箇所+荷卸し箇所)+横行時間
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モノレール運搬仮設
 モノレール運搬の計画での注意点は以下の通りです。

・平面図と断面図からモノレールラインを決めます。

・運搬時の最大重量を決めます。最大積載荷重の決定・重機等運搬最大積載物が重機等の場合は分解時最大部品の重量とします。資材運搬最大積載物が諸資材の場合はその1 回当たりの運搬量を勘案の上決定します。

・モノレール架設撤去の傾斜区分
 30 °未満と30 °以上に区分してそれぞれの延長を集計します。

・ 小型不整地運搬車の規格を決めます。
 小型を適用する場合は2.0t級を標準とします。

・人力積卸し手間
 ブロック及び鋼材など人力による積卸しが必要なものについては、人力積卸し手間を計上します。

・運搬車規格の選択
 運搬路幅員により6tを選択できる時でも各運搬資材ごとに2tの場合と経済比較を行います。


 

プラント仮設
 地山補強土工法の施工には注入の工程があります。またよくセットとなって施工する吹付枠工には吹付という工程があります。これらの施工にはプラント仮設(注入プラント、吹付プラント)が必要です。標準的な参考として以下の面積が必要です。
 

 一方で道路災害復旧工事などの場合、仮設スペースが限られる現場も多くあります。このような場合は車道横にプラントスペースを設ける場合もあります。

車道横にプラントスペースを設ける場合

 どうしてもプラントスペースが取れない場合、足場材で作業構台を作成しなければならないケースもあります。このような場合は設計時に数量計上が必要であり、必然として設計に仮設プラントスペースを考えておくことは極めて大切です。

作業構台でプラントスペースを設ける場合

 

 

 

単管足場の計画

 足場の計画は以下のフローで行います。

 足場関係は、労働安全衛生規則564,570,571,574によります。

 

足場の組み立て等

 

足場材の緊結、取外し、受渡し等は幅20cm以上の足場板を設け、安全帯を使用させる。
壁つなぎの間隔 垂直方向 水平方向
単管足場 5m以下 5.5m以下
枠組足場 9m以下 8m以下
単管足場 建地間隔 けた行方向:1.85m以下
はり間方向:1.5m以下
地上第1の布 2m以下
建地の2本組 建地の最高部から測って31mを越える部分
積載荷重 建地間400kgを限度
枠組足場 水平材 最上層及び5層以内毎
高さ20mを超えるとき及び重量物を積載 主枠の高さは2m以下
主枠間1.85m以下
吊足場 使用禁止の吊り鎖は伸びが5%、リンクの断面の直径の減少が10%を超えるもの(吊りワイヤーロープは玉掛索と同じ)

 また足場の構造は以下のようです。

 

〜単管足場の構造〜
☆「建地間の積載荷重」とは、相隣れる4本の建地で囲まれた1作業床に積載し得る荷重をいいます。
 
☆「5層以内」とは、作業床の有無に関係なく、垂直方向に継いだわく1段を1層とし、5段以内をいいます。
 
☆「けた行方向」とは、足場の床を取り付けた方向をいい、「はり間方向」とは、腕木を取り付けた方向をいいます。